SSブログ

実話の凄み-遠野奇談-

「遠野奇談」 佐々木喜善

遠野で起きた山の怪異、動物たち、人間たちの話です。
柳田国男の「遠野物語」は、佐々木喜善から聞き取った話をまとめたものなんですね。
「遠野物語」は読みましたが、誰が語った話なのかは考えたことがありませんでした。

この本には、怪異の話もでてきますが、それ以上に動物や人間の話が心に残りました。

子供を取られて復讐する狼の話や、ボス争いをする牛の話が面白かったです。

郵便配達夫の頭がおかしくなって家族を殺害してしまう話は、怖かったです。

天保の飢饉の話も怖かったです。
昔話やおとぎ話ではなく実話なので、より一層怖いし悲しくなりました。

満州事変の時に、神様たちが満州に御神立された話は、初めて知りました。
非常に興味深かったです。
兵士に無事に帰ってきてほしいという人々の思いから生まれた現象なのでしょうが……。



タグ:
nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

とてもわかりやすいローマの歴史-ローマとギリシャの英雄たち<栄華篇>-

「ローマとギリシャの英雄たち<栄華篇>」 阿刀田高

ギリシャ人プルタークが記した「英雄伝」をわかりやすく読ませてくれる本です。

カエサル、ポンペイウス、アントニウス……名前は聞いたことがあってもよくわからなかった人物が、いきいきと描かれていて、とても面白かったです。

ローマの政権争いは、過酷だったんですね。
カエサルは二十三箇所も刺されて亡くなったそうで、そこまでしなくても……と思いました。

紹介されている人物の中では、アレクサンドロス大王が一番かっこよかったです。


タグ:
nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

不思議な病気が蔓延した社会の群像劇-眠れる美女たち-

「眠れる美女たち(上)(下)」 スティーヴン・キング、オーウェン・キング

眠った女性を繭が覆い、女性は目を覚まさなくなった。
オーロラ病と名付けられたその病気は、世界中に広がった。
小さな町、ドゥ―リングに現れた女性イーヴィだけは、その病気にかからなかった……。

面白いお話でした。
ネタバレありの感想です。





最初は少し読みづらい気がしたのですが、フランクが娘を病院に連れていって惨劇が起こるあたりから話にひきこまれました。

イーヴィを守るクリント、イーヴィを奪おうとするフランク、刑務所を破壊したいグライナー兄弟が刑務所に集まるシーンは、スリリングでした。

イーヴィがあっさり退場してしまったのは、少し残念でした。

あと、クリントとライラの関係が修復できずに終わったのが少しかわいそうでした。
クリント、無実だったのに……。

この話は、スティーヴン・キングと彼の子供のオーウェンの共作ですが、スティーヴン・キングの本に比べると、少し純文学みが強いかなと思いました。
ラストの終わり方とか……。

たぶん基本的にはオーウェンが書いて、グロいシーンにキングが手を加えて盛り盛りにしているんだろうな。勝手な推測ですが。

「君たちはどう生きるか」の魚の解体シーンに宮崎監督が手を加えたらしいので、そんな感じなのでしょう、たぶん。



タグ:SF ホラー
nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

夏の思い出-AnotherエピソードS-

「Another エピソードS」 綾辻行人

「Another」で見崎鳴が一週間くらい家族と一緒に市外の別荘に行っていましたが、その時のお話です。

「Another」に比べると、ライトな感じ。
十分面白かったですけれども。





nice!(7)  コメント(7) 
共通テーマ:

ラヴクラフトみのある児童文学-マリアンヌの夢-

「マリアンヌの夢」 キャサリン・ストー

誕生日に病気になってしまったマリアンヌは、ベッドの上で絵を描く。
すると、夢の中に描いた絵と同じ世界が現れた。
夢の中で出会った少年マークと喧嘩したマリアンヌは、怒りのままに彼を見張る石を描いたのだが……。

とても面白かったです。
児童文学ですが、かなりホラー。
目のある石が、マリアンヌとマークに迫ってくるのですが、ちょっとラヴクラフトっぽさを感じました。

舞台となる場所は、マリアンヌの家と夢の中の世界の二つだけなのですが、読者を全然飽きさせないスリリングなストーリーでした。

ロマンチックな終わり方も良かったです。
タグ:児童文学
nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

元気になれる児童文学-飛ぶ教室-

「飛ぶ教室」 エーリヒ・ケストナー

もうすぐクリスマス。
寄宿学校の生徒たちは、クリスマスの劇”飛ぶ教室”の練習にいそしんでいた。
そこに、他の学校の生徒に仲間が襲われたという知らせが届き……。

児童文学の名作です。
タイトルだけは以前から知っていて、ファンタジーかと思っていたのですが、寄宿学校が舞台の結構リアルな話でした。読んでよかった。

他の学校の生徒との喧嘩、上級生からの嫌がらせ……いろいろなことがありますが、主人公たちは信頼できる大人の手を借りつつ、立ち向かっていきます。

爽やかで元気が出てくるお話でした。

この本が、1933年ナチス支配下にあるドイツで出版されたということに、作者の本に込めた思いを強く感じます。

タグ:児童文学
nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

尾行って大変そう-サイタ×サイタ-

「サイタ×サイタ」 森博嗣

匿名の依頼を受け、ある男性の尾行をすることになった探偵社の小川と真鍋。
男は元妻のストーキングをしているらしいが……。
連続爆発事件と殺人事件が起こった。

Xシリーズ第五弾です。
面白かったです。

毎度のことながら、犯人の動機がよくわかりませんが……。

真鍋君が小川さんを火災現場から救うところが見どころかな。


nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

驚天動地のミステリーホラー-アウトサイダー(上)(下)-

「アウトサイダー(上)(下)」 スティーヴン・キング

13歳の少年の惨殺死体が見つかった。
目撃証言や指紋から、警察は教師で少年野球チームのコーチであるテリーを逮捕する。
しかし、テリーにはアリバイがあった。
刑事ラルフは、テリーを犯人だと確信していたが、その確信が揺らぎだす。

とても面白いミステリーホラーでした。
あっという間に読み終わってしまいました。

最初のほうは本格的なミステリーですが、キングなので当然のようにホラーになっていきます。
上巻の終わりで、過去作の登場人物が出てきた時には、「おお!」と思いました。
大切な人の死を乗り越えて成長した姿を見ることができて、嬉しかったです。

キングおなじみの悪の力に支配される悪役が出てきましたが、悪役だけどちょっとかわいそうに思いました。
悪役にも共感を呼ぶところがあるのが、キングの良いところかな。

nice!(6)  コメント(6) 
共通テーマ:

明るく楽しいファンタジー-ヒックとドラゴン1-

「ヒックとドラゴン1 伝説の怪物」 クレシッダ・コーウェル

ヒックはバイキングの頭の子。でも、いたって平凡な子供で、体格のいいスノットに嫌味を言われてばかり。
ドラゴン入門テストで、一人一匹ドラゴンを捕まえることになった。
ヒックが捕まえたのはとても小さなドラゴンだった。

とても面白いファンタジーでした。

「ヒックとドラゴン」の映画を見たことがあるのですが、映画とはまったく違うお話でした。
映画も本も、それぞれの良さがあって、面白かったです。

ヒックとわがままなドラゴン、トゥースレスのやりとりが楽しかったです。
巨大なドラゴンとの戦いの場面はハラハラしました。

全体的にユーモアにあふれていて、読んでいて明るい気持ちになりました。


nice!(8)  コメント(8) 
共通テーマ:

会話が楽しいミステリー-ムカシ×ムカシ-

「ムカシ×ムカシ」 森博嗣

百目鬼家の夫妻が刺殺された。
遺品の整理と鑑定をすることになった小川、真鍋、アルバイトの永田だが、新たな殺人事件が起こる。
遺体の頭には、河童のように皿が載せられていた……。

Xシリーズ第四弾です。
面白かったです。

アルバイトの永田さんが登場しました。
真鍋くんとちょっといい感じです。

心の拠り所が一つしかないと、それがなくなった時に、苦しくなる、という話かな。

2014年刊行の本なのですが、少し今の時代にそぐわないところもありました。

nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ: