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奇想天外で感動的な話-リリアンと燃える双子の終わらない夏-

「リリアンと燃える双子の終わらない夏」 ケヴィン・ウィルソン

リリアンは、友人マディソンに頼まれて、マディゾンの夫の前妻との間の子供を世話することになった。
子供は、男の子と女の子の双子で、重大な秘密を抱えていた。感情が高ぶると、体が燃え出すというのだ……。

奇想天外で痛快で感動的という、とても良い話でした。

主人公は、貧乏な家庭に生まれ、一所懸命勉強してお嬢様学校に入ったのに、マディソンの罪をかぶって放校されてしまうという、悲惨な経験をしているのですが、性格がカラッとしていて魅力的です。

そんなリリアンが、個性的な双子とどうやって親しくなっていくのかが、見どころです。

心に残ったマディソンのセリフ。

「(前略)子供をただの一か所も歪めたり、損なったり、だめにしたりしないで、ノーミスで育てあげた親なんていると思う? そういう人、ひとりでも思いついたら言ってみて」

子育てに悩んでいる人には、刺さるセリフだと思います。



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ミステリー×?の面白さ-屍人荘の殺人-

「屍人荘の殺人」 今村昌弘

ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、事件の匂いをかぎつけ映画研究部の夏合宿に参加しようとする。探偵少女、剣崎比留子の助けにより、なんとか夏合宿に参加できたが、そこで思いもよらない事件が起こる……。

とても面白かったです。
想像していなかった「ミステリー×?」で新鮮でした。

被害者を完璧な悪人として描かなかったところに、優しさを感じました。
謎解きも面白かったです。

一番良かったのは、登場人物の名前の覚え方を剣崎が教えてくれたところ。
なんという親切設計(笑)
ミステリー初心者にも優しいです。


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メタヴァースと現実が入り乱れるSF-スノウ・クラッシュ-

「スノウ・クラッシュ(上)(下)」 ニール・スティーヴンスン

資本家によるフランチャイズ国家が乱立し、ネットワーク上に「メタヴァース」が存在するアメリカ。
ピザ配達人であり、凄腕ハッカーであり、二本の刀で戦うヒロは、メタヴァースで「スノウ・クラッシュ」というドラッグを手渡されたが……。

「メタヴァース」という言葉を生み出した本らしいです。
面白かったです。
でも、そこまでワクワクドキドキしませんでした。
メタヴァースが一般化した世界に生きているからかな?

登場人物が類型的であまり共感できず、「二本の刀ね。はいはい。かっこいいですね」と冷めた目で見てしまいました。
あと、放射性物質を簡単に扱いすぎです。怖さを知らないのかな?

シュメール文明に関する部分は、面白かったです。

タグ: SF
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心がしんとする話-遠い山なみの光-

「遠い山なみの光」 カズオ・イシグロ

英国に住む悦子の長女が自殺する。母親を心配して次女が家に泊まりに来たことをきっかけに、悦子は過去を思い出す。戦後の長崎で、佐知子とその娘、万里子に出会ったことを……。

静かで、少し不気味な感じもする、面白い本でした。

周りから疎まれている佐知子に、なぜ悦子は話しかけたのか。悦子が「お人好し」だからなのか。悦子が自分と似たものを佐知子に感じたからなのか。いろいろ考察できそうです。

悦子が万里子を探していて、足にからみついた縄を拾って、それを持ったまま万里子に近づくシーンがあるのですが、「早く縄捨ててー。なんか怖いから」と思いました。
万里子も怖がっているのに、なぜ捨てない。

はっきりと説明されていない部分が多いですが、それがそんなに嫌にならない不思議な話でした。

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最後に主人公が見つけた真実は……-天使の鬱屈-

「天使の鬱屈」 アンドリュー・テイラー

夫と別居したウェンディは、親友のジャネットの家に身を寄せる。
教会付属の図書館で働き始めたウェンディは、半世紀前の聖職者フランシスについて調べ始める。

三部作の最終巻ですが、他を読んでいなくても、面白く読めました。

謎めいたストーリーで、悪魔の存在を感じさせます。

重いミステリーでした。
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ifの世界を描いたSF-高い城の男-

「高い城の男」 フィリップ・K・ディック

第二次世界大戦で、日本とドイツが勝利した。
アメリカの芸術品を販売するチルダンは、通商代表部の田上に商品を売り込んでいた。
世間では、戦争でドイツと日本が負けた世界についての本が流行っていた。その本の作者は、ドイツによる暗殺を怖れて、防犯完璧な高い城に住んでいるというのだが……。

とても面白いSFでした。

チルダンは日本人に対して嫌悪と憧れを同時に抱いていて、その複雑な心理描写が見事でした。

登場人物がやたらと筮竹で卦を立てるのですが、今の日本人はやらないことだなと思いつつも、面白かったです。

田上がドイツへの怒りからとった些細な行動が、一人の芸術家を救うことになるのが爽快でした。

ハッピーエンドとは言えないかもしれませんが、勇気をくれる終わり方でした。


タグ:SF
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ひとひねりあるファンタジー-魔法?魔法!-

「魔法? 魔法!」 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

ファンタジー、SF、不思議な話の短篇集です。
とても面白かったです。

「魔法ネコから聞いたお話」
悪い魔法使い、見習いの男の子、ぶちネコが暮らしていた。ネコは、男の子を助けるために奮闘する。

ネコがかわいい。

「ダレモイナイ」
ダレモイナイは、人型ロボット。
屋敷の電化製品たちは、ダレモイナイの邪魔ばかりするが、いざという時には協力して、みんなで悪人をやっつける。

ダレモイナイがかわいい。
失敗するけど、一生懸命なところが良いです。

「ちびネコ姫トゥーランドット」
トゥーランドットは、ヘンリーという魔法使いを飼っている。ヘンリーが連れてきた他のネコたちと一緒に楽しく暮らしていた。
荒野に大きな獣が現れ、動物を襲い始めた。ヘンリーは、獣退治を手伝うことになったが……。

ネコがかわいい。
一匹じゃなくて、六匹も出てくる!
魔法と科学がミックスされた世界観で、「ハウルの動く城」っぽさがありました。
ジブリで映像化してほしい。
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ちょうどいいミステリー-<羽根ペン>倶楽部の奇妙な事件-

「<羽根ペン>倶楽部の奇妙な事件」 アメリア・レイノルズ・ロング

アマチュア文筆家の集まり<羽根ペン>倶楽部は、メンバーの屋敷に集まって会合をすることになった。
メンバーから嫌われているイングリッシュ夫人も屋敷にやってきて、微妙な空気が漂う。
次の日、そのイングリッシュ夫人の遺体が発見された。
ミステリ作家であるわたしは、その謎を追うが……。

面白いミステリーでした。

重すぎず軽すぎずちょうどいい感じでした。

事件の真相は予想外でした。

コーヒーや紅茶を飲みながら読むのにちょうどいい本だと思います。




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透明感のある詩-ウルトラマリン-

「ウルトラマリン」 レイモンド・カーヴァー

詩集です。

親族にお金をせびられたり、自分も借金を頼まなきゃいけなかったり、結構ひどい状況の詩が多いですが、透明感があって、不快にならない。

「今朝」という詩がよかったです。
完璧に美しい風景に出会って、日常の雑念を忘れるという詩です。
その詩を読んでいる私も、雑念を忘れることができました。
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楽しい冒険活劇-チムニーズ館の秘密-

「チムニーズ館の秘密」 アガサ・クリスティー

アンソニーは、ある有名人の回顧録の原稿を出版社に届けることになったが、いろいろな組織に狙われる。王政復古で混乱するヘルツォスロヴァキア国が関係しているらしいのだが……。
チムニーズ館にヘルツォスロヴァキア国の石油利権を狙う各国代表が集まった時、殺人事件が起こる。

とても面白いミステリーでした。

この人が実は〇〇だった、というのが多くて、犯人が全然読めませんでした。
登場する女性が、元気でかわいくてよかったです。

最後はハッピーエンドで、素敵なエンターテインメント作品でした。

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